アルコール消毒剤について
擦式アルコール手指消毒
2002年CDCのMMWRにJohn BoyceとDidier Pittetによる「Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings」が発表され、そこで擦式アルコール消毒剤(Alcohol-based Hand Rub、ABHR)がもっとも望ましい消毒法として強く推奨されました。
1975年と1985年のCDCガイドラインでは、非殺菌石けんによる手洗いが主に推奨されました。その後APICなどの学会の動きや様々な研究結果の蓄積により、ABHRの院内感染コントロールにおける重要性が強調されるようになりました。そこで欧米を中心とした複数の学会の専門家によるHand Hygiene Task Forceが結成され、手指衛生に関連する科学データをレビューし、新しいガイドラインの作成に至ったのです。
このガイドラインでは、目に見える汚れがある場合は石けんと流水で洗い、その後は病院におけるケアの各場面で擦式アルコール手指消毒をすることが、強く推奨されています(ほとんどの場面で、擦式アルコール手指消毒は、その効果に十分な科学的根拠があることを示すAI~AIIのカテゴリーに分類されています)。
さらに2009年5月、WHOは「WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care」を発行しました。ここでは手指衛生が強く求められる、5つのモーメント(タイミング)が指定され、それぞれの場面でABHRによる手指衛生が強く推奨されています。